「さんてんいちいち」という声が聞こえてきます。
「それは3月11日の事なのです」と私はこっそり言い換えます。
「さんてんいちいち」という声が聞こえてきます。
「俺の娘がいなくなった日をそんな記号で呼ぶんじゃねえ」
そんな押し殺した声を思い出します。
「覚えやすいから、忘れやすいわねえ」
そんな泣き笑いの横顔を思い出します。
「さんてんいちいち」という声が聞こえてきます。
「さんてんいちいち」という音がこだまします。
「それは3月11日の事なのです」と私はこっそり思うのでした。