はじめまして、広部と申します。
この応援のしっぽという組織は、震災前から作る事を決めていました。
しかしながら、設立はもう少し内容を練り、協力体制を整え、資金を集めてからする予定でした。
東日本大震災が起こり、長期ボランティアリーダーとして宮城県石巻市において、大川小学校周辺の拾得物(写真、ランドセル等学校用品)をこつこつと洗い、展示し、本人もしくは、ご家族・ご遺族の方に返していく中で、たくさんの涙を見ました。現地の方も含め、多くのボランティアの方達と知り合い、その熱い思い・力を共有しました。被災直後に来ようと思えば被災地に来れたのに、来なかった事を後悔しました。これと言って特技もない、こんな自分でも、頼りにしてくれる方がこんなに多くいるのかと、驚きました。今しかない、と思いました。
人生をかける覚悟が足りないだけだったのかもしれません。
こうして、応援のしっぽは、始まりました。
勤め先があって、家族がいて、生活していくのにいっぱいいっぱいで、もちろんそれだけで十分幸せ・・・・けれど、やりたいことがある、試してみたいことがある人たちが、困っている人たちのために、困っているけど声も出ない人たちのために、胸を張ってこれをやるんだと手を挙げる事ができる社会。それを、有名大学を出た若いエリートがするのではなく、名の通った企業を退職した人脈・経験豊富な人がするのではなく、なんとかプロジェクトと言って派手にぶち上げてやるのではなく、普通に隣に住んでいるおじちゃん達や、はす向かいに住んでいるおばちゃん達がやれるようにしたいのです。
人が何かをしたいと思った時、それがどんなに良い事であったとしても、ひとりでは何もなしえません。必ず、直接・間接問わず協力してくれる人達が必要になります。応援してもらったことは、人は忘れません。次に誰かが応援が必要な状態になっているのをみれば、手を差し伸べることにな るのではないでしょうか。手を伸ばされた人達は、次の人達へ、また、その人達は次の人達へ。無理のない範囲で、世代を越えて。
誰かが、誰かを。
それは国境を越え世代を越えて、何より心の垣根を越えて世界を巡ります。応援したことが必ず自分に返ってくるわけではありません。しかし、いつか、自分たちの親、子供、孫、友人など、本当に大切な人達に、 いつの間にか知らないうちにこっそり返ってくるものではあると思います。そしてその影響は、そういう人々が住む地域、国を心からあたたかくしていくことになると思います。
その結果、夢を、家族の前で、隣人の前で、子供たちの前で大きな声で話せるようになると良いなと思います。いい年した大人が・・・と言われずに、頑張ってみたら?、と後押しされることが多くなると思います。
実力のある人が次の目標に向かうことだけが挑戦ではありません。困っている人が困らないように努力することも、何も持たない人が今日を生きることも、挑戦なのだと思います。
応援し、応援されてきた人々が作る社会の文化が、多様性を肯定していくようになるのだと思います。
それはつまり、優しさの発露なのではないでしょうか。
こういう話は本来、政治的なものでも宗教的なものでも学術的なものでもなく、ただありふれた、気持ちの良い社会、子供を産み、育て、安心して暮らしていける社会の根本でもあると思うのです。困ったときはお互い様。その一言で片付く話です。そんな、もともと心にあるやさしい気持ちを、もうすこし表に出しやすくする、そんなお手伝いをしていく存在でありたいと思っています。
代表理事 広部 知森
代表者プロフィール
広部 知森 (ひろべ かずもり)
1977年2月18日生まれ。福井県坂井市出身。同志社大学中退。宮城県石巻市在住。
東日本大震災発災まで、関東圏にて一般サラリーマン。
2011年6月末、当時、宮城県石巻市にあった「ボランティア支援ベース絆」にて、ボランティアに従事。
主に、石巻市大川小学校学区内の被災拾得物(学校用品、写真、位牌など)の洗浄・展示・返却にリーダーとして携わる。
その後、2011年10月任意団体応援のしっぽを設立。
2012年11月にNPO法人化して、現代表理事。